1948年の夏、東京の小金井にある岡山県の山林王古神の屋敷へ戦友である屋代寅太(谷隼人)を訪ねた金田一耕助(古谷一行)。先代当主の未亡人であるお柳さま(南風洋子)とその美しい娘八千代(范文雀)、八千代の腹違いの兄古神守衛(清水治)、先代当主の弟古神四方太(菅貫太郎)、寅太のおじで屋敷内の実質的な権力を握る執事の仙石鉄之進(伊藤雄之助)とその息子直記(村井国夫)、女中のお藤(小林伊津子)など、怪しげな雰囲気の住人が棲む古神家。寅太の勧めで逗留した金田一耕助は殺人事件に遭遇、日本刀で首を斬り落とされた死体の主は、八千代が婚約者として連れて来たいかがわしい新進の画家蜂屋小市(岸田森)なのか、あるいは同じく足に銃創のある守衛なのか!?。犯行時刻の前後に夢遊病で庭を徘徊する八千代の姿を目撃していた金田一耕助は、次々と起こる連続首なし殺人事件を解決...
六角商事の重役夫人として毎日何不自由ない生活を送る坂崎静は、夫の聡治がドイツへ長期出張する日、いつになく充ちたりた朝をむかえた。この日、聡治は大学に通う甥で社長の息子六角陽介からの紹介で面接試験にきていた中田修一を、静との瞬時を惜しむあまり、面接もせずに追い帰してしまった。修一は、夫と連れたってでていく静の美しさにふと心を奪われた。まもなく修一は、六角家のパーティーで静に紹介された。その帰り、静を送る車の中で、修一は自ら陽介の子分であることを告げ、賭けごとで日々を送っていることを話す。だが静は、修一の態度が青年特有の自虐的ポーズであることを知ると同時に、彼の中に自分はすでに失いつつある青春が息づいているのをみた。静が、ドイツで夫と生活するためにドイツ語をならいたいと思っている事を知った修一は自ら家庭教師をかってでた。陽介はそんな二人を見るにつけ激しく...
NHK大河ドラマ第23作。近現代三部作第二部。
"近代大河"の第二弾は時代を少しさかのぼり、日本の女優第一号川上貞奴を中心とする明治から大正にかけての群像劇だ。貞奴に関わる主要人物として登場するは、新演劇の旗手川上音二郎、実業界に名を馳せた福沢桃介、その妻で福沢諭吉の次女房子。彼らが織り成すドラマはそれまでの大河が描いてきた英雄伝としての歴史ではなく、文化や世相の面から時代をとらえた意欲作である。ただ、そのためか日清日露の動乱をはさむ時代を背景にしながらも、視聴者にはいささか地味な作品と映ったようだ。後半には、名取裕子演じる松井須磨子を貞奴のライバル役としてクローズアップし、視聴率回復のてこ入れを図るも効果はなく、一時は視聴率が一ケタ台まで落ち込むという苦い記録を作る。
01 自由は死せず
02 馬上の女
03 遊戯会
04 母と子と
05 ...
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学園紛争のあおりで東大入試が中止となり、風邪を引き、足の爪をはがし、愛犬が死んでしまい、このところ全然ついてない薫クン(岡田裕介)のある一日を通して、青春の繊細な心理と行動、その機微を浮き彫りにしていく傑作青春映画。原作は庄司薫の芥川賞受賞小説で、森谷司郎監督は実験的とも感覚的ともいえる映像描写を駆使しながら青春の光と影を見事に描出。特に既成曲の使い方などうまく、当時の若者世相を知るよきテキストになっているが、それ以上に永遠普遍の青春の真理をついた、今の時代にも納得できるものになりえている。これがデビュー作の岡田裕介は、監督の命令で長靴の中に画鋲を入れられながら、片足をひきずり演技を通した。どこか甘ったるい彼の言動もまた、その後のノンポリ的若者像を巧みに先取りしているようでもある。なお彼が落書きするシーンでは、イラストレータ...