京子（山田花子）の声「これは人形浄瑠璃と言います。私の町が発祥の地らしい」淡路島三原町、神社の境内に作られた野がけ舞台では、浄瑠璃『傾城阿波の鳴門（けいせいあわのなると）』が演じられている。母と別れた娘の悲しい物語だ。京子は、いま20才。高校３年生の時に母和子（未知やすえ）がくも膜下出血で突然に倒れ、脳死を告げられた。母は叔母の死の経験からドナーカードを持っていた。妻の最後の願いだからと夫の大助（大杉漣）は悩んだあげく、臓器提供を決心する。京子も静かにうなずいた。京子は高校を中退してしまい、父とふたりだけの引きこもりがちの毎日が続いていた。ある日、近くの公園で父が女性記者の取材を受けていた時のことだ。偶然、急ぎの電話に呼び出された記者が残した取材ノートに、臓器を移植された人たちの名前が記されていた。大助はそばにあったチラシに思わず走り書きしてしまう...
