1948年1月、銀座の宝石店天銀堂で衛生局員を装った窃盗グループが店員を騙し毒殺し、宝石を奪った。モンタージュ写真にそっくりだった元子爵椿英輔が死体で発見される。音楽は、一部資料では、真鍋理一郎と記載されているが誤り。
キー局 MBS
放送曜日 土
放送期間 1977/06/25~1977/07/23
放送時間 22:00-22:55
放送回数 5 回
連続/単発 連続
番組名 横溝正史シリーズ
局系列 JNN
制作会社 (製作東宝、MBS)
制作協力 (協力国際放映)
制作 (制作主任寺本 巌(寺本 厳))
企画 角川春樹事務所、MBS
盛り場の暗がり、厚生省麻薬取締官たちが一台のトラックにすし詰めになって、情報を待っていた。川井組の麻薬密売人井本と宮川を押さえるためだ。取締官の須川は、情報提供者の朝鮮人金山を囮に使い、その報告を待って密売現場を襲った。宮川とパンパンの中毒女ユリ子を捕らえたが、井本はすでに消えていた。ユリ子は妊娠を理由に釈放を求めた。ユリ子に捜査への協力を約して釈放した。翌日、金山は井本の暴力を浴びて新宿を追われた。金山は最後の情報として、つるやという飲み屋にバイ人の出入があると須川に告げた。須川は、ユリ子の客を装いつるやに行った。が、井本は須川の正体を見破った。ために、ユリ子も井本に狙われるようになった。須川は彼女を千葉の総武病院に入れ、麻薬から救おうとした。ユリ子の禁断症状は癒えた。ユリ子はまた須川のため囮の仕事を始めた。彼女は須川を慕うようになっていた。ヒカリ...
明治三十年代の大陸を相手に景気が出始めたころ、北九州の港湾には人間のあらゆる欲望がぎらぎらと沸き立っていた。そうした門司港へやって来た二十六歳の玉井金五郎。がっちりした体躯、精悍な眼差しは野望に燃えていた。早速とび込んだ博打場で、彼はたちまち着ている物まで剥ぎ取られる破目になったが、壷振りの女が「いつかあたしに彫らせてね」と囁いた。その時女の袖口から、牡丹に蝶の刺青が真白な腕にくっきりと浮き上っているのが見えた。浜尾組の仲仕となって働くようになった金五郎は次第に頭角を現わしていった。そのころ北九州一帯を襲った上海コレラにもびくともしない彼を、女仲士のマンはいつか想うようになっていた。人一倍勝気なマンが、いま旭日昇天の勢力を持つ吉田磯吉親分の客の望みをはねつけたことから、吉田の子分達に襲われた。すぐさま抗議に乗り込んだ金五郎は、素直に謝まる吉田の豪放な...
東京奥多摩で男の死体が発見された。捜査の結果、犯人はバンドで被害者を絞殺、石油カンで顔を砕き、焼き殺したこと、被害者の名は佐山ということが判った。佐山は就職の件とかで、戸籍謄本を持って外出したのだった。遺留品のバンドのバックルが沖縄に関係あるので、沖縄へ飛んだ刑事から城間という男を追えと言ってきた。城間は四日市の石油会社にいるはずだ。この事件の目撃者による城間のモンタージュ写真が出来上った。城間の運転免許台帳の写真と照合したが全然似ていなかった。ところがそのモンタージュ写真は指名手配中の殺人犯中北だった。さらに不思議なことは、四日市に行ったはずの城間に東京で交通違反出頭状が来ていることだった。所轄署に保管してあった免許証の写真は中北だった。指名手配中の中北は戸籍謄本を利用、城間になりすましたが、交通違反でそれがバレるのを恐れ、佐山に目をつけたのだった...
埋立地の建設現場。フォークリフトがすくい上げた土の中から、一本の手が珠数をかけたままだらりと宙に下がっていた。検死の結果、絞殺後一カ月、年齢は四十歳前後、身長一メートル七〇、特徴として歯ならびの悪いことが判った。犯人捜査の手がかりは珠数しかない。林、北川の両刑事が珠数の線を引き受け、長田、渡辺の両刑事が工事現場の聞き込みに当った。仏具店で調べると最低の品物で、日々教という新興宗教のものらしいという。二人は日々教本部に行き、現場付近に住む信者二十八名の住所氏名を写しとった。折も折、人相写真を見た浅草署管内の交番から電話があった。七カ月ほど前、写真とよく似た酒乱の男を保護したが、六区辺りの露天商人らしいという。金子刑事の調べによると、輪投げの店を出していた武井の為七がそれらしい。葛飾区内の為七の下宿のおかみさんは、為七の妻初子は酒乱の夫に愛想をつかし、...
武田の大軍を迎えて鮮かに勝利を収めた家康の一子三郎信康は、一躍織田陣営に名をあげ、岡崎の城に凱旋したが、次女を生んだ妻徳姫は気位高く信康が産室を見舞うことを許さなかった。今川義元の血をつぐ築山御前を母に持ち、九歳で信長の娘徳姫を娶った信康は戦国時代とはいえ、血の相剋に生きる運命児だったのだ。父母は身の立場から浜松と岡崎に居城を別にしている有様、築山御前の冷い仕打に妻としての態度も忘れかけた徳姫との溝が深まって行くのも仕方がなかった。苦悶の続くある日、信康は野で菊を摘む花売のしのに一度だけの愛を与えたが、築山御前と情を通じる鍼医減敬の配下亀弥太に目撃されていた。妻には心の隔りを感じる信康にも服部半蔵、天方、久米ら忠誠の部下があった。信康だけを愛する母築山御前は、怨敵信長を討ちとるようにと老巫女梓を供に持仏堂に籠り、信長徳姫父子の呪殺を祈願していたが、...
境道介は竹生島を見に行った時、木谷れい子という若い自殺娘を助けた。れい子をつれて道介は、京都にいる同じ陶工の友人山口の家に厄介になった。翌朝電報で東京から駈けつけた彼女の叔母三浦暁子をみて道介は息をのんだ。数年前、暁子が元大臣の次男三浦清高と婚約が整った日、家族の者と一緒に金山陶雨の展覧会を見に行った際、説明役をしたのが弟子の道介だった。それから父の使いで陶雨の仕事場を訪ねるたびに暁子と道介は親しくなっていった。しかし、それも、暁子の結婚でプッツリと切れてしまった。そんな二人の過去を聞いて、れい子は驚いた。琵琶湖での自殺未遂事件も、実は婚約者の八田が机の上に暁子の写真を飾っていたことにショックを受けての出来事だった。このことから、東京に帰った道介のアトリエに暁子とれい子が屡々訪れるようになり、れい子は琵琶湖で初めて会ってから道介を愛していると語った。...
酒匂基次と越秋穂は親友だ。秋穂は明朗な青年で母の正子のヘソクリを借りては金貸し業をする学生商人。基次は、広告代理店の重役である父をもちながら病床にある母の延子を置いて、かたくるしい上流社会の空気を持つ家庭からとびだし、盲目のマッサージ師の好子と世帯をもっていた。酒匂家では、家族会議が開かれ、基次は母の延子が生きている間だけという条件で家に帰って来た。酒匂家で静かな歓迎を受ける二人に、小さな魂が宿った。二十一歳の父が誕生するのだ。一方秋穂は美貌のクラスメート恭子と結婚を約束していた。その頃、基次の母は息をひきとった。基次は最初の契約通り、酒匂家を出てアパートに移った。やがて酒匂家には初孫が誕生した。その幸福感を味う暇もなく、基次は、赤ん坊を背負った好子が交通事故に会うという惨事に出くわした。落胆した基次を慰める家族の言葉に、新しい生活に入るとみえた基次...