渡世内の名花と謳われている日陰花のおいくが、女郎屋広満一家に帰って来た。その広満一家のシマ内に取って代ろうとする金辰一家は、広満屋が栄えているのは、おさね、おりん、おぬきという名器三女郎がいるからだと察し、人造整形ペニスの逸物を持っている色道三兄弟を呼びよせた。そして、三兄弟を三女郎に挑戦させ、敗者が勝者のいいなりになる、と約束させた。それぞれ手練手管の限りを尽くして戦ったが、三兄弟が三女郎を破った。危機に陥った広満屋。長年世話になった一家の危機を見て、今度はおいくが三兄弟に挑戦する。金辰一家の一室で、ずらりと一同が見渡す内に、色勝負がくり拡げられる。おいくは持ち前のセックステクニックで三兄弟を次々にうち破り、見事広満屋の危機を救うのだった。
<照りつける夏の日差し。川べりに浮かんだ小舟の上で、若妻の肌に汗が光る。初々しく美しい若妻は、夫の熱い視線に恥じらう。夫の手が静かに若妻のもんぺの中へと滑りこむ。あらわになる若妻の太腿。若妻の恍惚とした表情、小舟が静かに揺れる…>
ブルーフィルム『風立ちぬ』。それは「幻の名作」として語られている伝説的な作品だった。この映画を監督した赤沢は、普段は区役所に務めている平凡な男だった。職場ではいかにもさえない中年という感じだが、映画作りのこととなると異常な執念を燃やし、自分のブルーフィルムは芸術作品だと自負していた。赤沢は16年前に洋子と新婚旅行中に起きた事件がもとで別れ、以来ブルーフィルムを作り始めた。『風立ちぬ』で若妻を演じた民子は洋子にそっくりで、洋子の幻への想いが彼の情熱を駆り立てていた…。数々のブルーフィルム製作に没頭した人間たちの、執念や生きざ...
ルポライター戸田の真子に対する取材は二週間を過ぎようとしていた。初めはこの小生意気な二十歳の少女に全く興味を示さなかった戸田だが、次第に、自信に満ちた真子の生き方に興味を覚えていった。それは、戸田の安保闘争にすごしたあの若々しい青春時代の自分自身を見るようだった。かつて、その学生運動の中で阿梨子と恋をして、闘った。だが気が付いた時には、運動の失敗と、事故のための阿梨子の失明という敗北感だけが残っていた。戸田と阿梨子にとっての現在は素晴らしい青春を持ったという過去の思い出に侵るだけだった。一方、真子は、恋人の片桐や家族など彼女を取りまく全てのものが虚しく感じられた時、戸田の中へ身を委ねた。戸田にとってこの愛は十年前の敗北を癒すかのように燃えた。だが、真子は阿梨子を見た時、過去に生きる女への親しみを感じた。それは真子と戸田の別れをも意味していた。一方、片...
矢野雅子は、“女性現代社”の記者で、ある特ダネを追って忙しい毎日を送っていた。ある日、雅子は思いがけない事件に巻きこまれ暴行を受けてそのショックで記憶を失い廃人同様になってしまった。医師の診断によると強度の心神喪失で、この種の病気には、受けた暴行シーンを再現し体験させる以外にはない、とのことだった。雅子の兄、健一郎と恋人の隆は、この体験療法に賭けることにした。まず考えられる、タクシーの運転手による暴行の再現、次にやくざの集団による暴行。しかし結果は裏目に出た。二度とも雅子は、牝猫のように悶えるばかりなのだ。しかし雅子が追っていた特ダネに的をしぼって調査したところ、それは、反戦脱走米兵技術委員会の地下活動を捜ることであり、雅子が受けたショックは黒人米兵に関連があると健一郎と隆はにらんだ。二人は、GIジョーを雇い、雅子を襲わせた。ジョーが、雅子に襲いか...