昭和11年、雪の降りしきる青森刑務所に一人の無期懲役囚が入所しました。男の名は佐久間清太郎(緒形 拳)。素裸にされ入所検査をされる佐久間は、看守の鈴江(津川 雅彦)に激しく抵抗し、手荒く取り押さえられます。この日から佐久間と鈴江の長い戦いの日々は始まりました。そしてある夜、佐久間は独房から忽然と姿を消します。
戦中から戦後にかけて、犯罪史上に残る4回もの脱獄を繰り返した無期懲役囚がいた。この実在の囚人をモデルにした吉村昭の同名小説を、佐藤幹夫の演出でドラマ化。囚人と看守との関係を通して、人間の尊厳とは何かを問いかける。囚人の佐久間役に緒形拳、看守の鈴江役に津川雅彦。2人の名優による迫真の演技が、緊張感のあるストーリーをさらに盛り上げる。1985年(昭和60年)第1回文化庁芸術作品賞を受賞。
解説 - 斬殺せよ 切なきもの、それは愛
昭和初期の遊郭を舞台にそこでけなげに生きる娼婦と時代の運命に流されながら生きる人間たちの愛と葛藤を描く。脚本監督は「矢田教育差別事件」の須藤久。共同脚本は米谷純一。撮影は「べっぴんの町」の宗田喜久松がそれぞれ担当。
あらすじ - 斬殺せよ 切なきもの、それは愛
昭和10年の東京新宿二丁目の遊郭昭和楼に雛妓として売られてきた千代は、そこの稼ぎ頭のお雪をはじめとする女郎たちの姿を目の前にして覚悟を決めたかのように黙々と生活していた。この辺りは稲葉組三代目組長定吉の仕切るシマである。ある日、そこに定吉の兄貴分の直次郎がやって来る。直次郎はふとしたことから警官ともめごとを起こすが、それを助けたのは近衛歩兵隊中尉の丹下だった。丹下はかつて郷里で将来を誓い合ったセツという名の娘を捜していた。丹下に親しみを感じた直...