結婚した男を不幸にするという伝説をもつ大女優。彼女にまつわる殺人事件に、おなじみの名探偵が挑戦。1964年の初夏。金田一耕助(小野寺昭)は、山中湖へやってきた。旧知の実業家飛鳥(鈴木瑞穂)が湖畔にある別荘で開く婚約披露パーティーに招かれたのだ。飛鳥の相手で、大物女優の鳳千代子(松尾嘉代)は、結婚する男を恐ろしい目にあわせると言われている女だった。千代子は4回の離婚歴をもっており、パーティーのメンバーも奇妙だった。まず、最初の夫で、往年の二枚目スター泰久(佐原健二)との間にできた娘の美沙(松原千明)。その祖母篤子(荒木道子)。さらに2番目の夫で、画家の恭吾(上田耕一)、そして、3番目の夫で音楽家の津村(清川新吾)などだ。そこへ、なぜかひとり招待されなかった泰久が、酒気をおびて乱入してきた。翌朝、その泰久の死体が、ホテルのプールに浮かぶ。さらに次の...
1948年の夏、東京の小金井にある岡山県の山林王古神の屋敷へ戦友である屋代寅太(谷隼人)を訪ねた金田一耕助(古谷一行)。先代当主の未亡人であるお柳さま(南風洋子)とその美しい娘八千代(范文雀)、八千代の腹違いの兄古神守衛(清水治)、先代当主の弟古神四方太(菅貫太郎)、寅太のおじで屋敷内の実質的な権力を握る執事の仙石鉄之進(伊藤雄之助)とその息子直記(村井国夫)、女中のお藤(小林伊津子)など、怪しげな雰囲気の住人が棲む古神家。寅太の勧めで逗留した金田一耕助は殺人事件に遭遇、日本刀で首を斬り落とされた死体の主は、八千代が婚約者として連れて来たいかがわしい新進の画家蜂屋小市(岸田森)なのか、あるいは同じく足に銃創のある守衛なのか!?。犯行時刻の前後に夢遊病で庭を徘徊する八千代の姿を目撃していた金田一耕助は、次々と起こる連続首なし殺人事件を解決...
東京から汽車で三時間半、伊豆の山々に囲まれた古い温泉街。新叶家の松美という芸者を母に持つ夏子は四つの時に母に死に別れて以来、新叶家の神岡らくの養女として育てられた。小学校時代「芸者の子」といじめられ、芸者になるのは死ぬ程嫌だと思った夏子も学校を卒業すると小夏と名のって芸者になった。新叶家にはほかに延千代、花勇、若子等の妓がいたが、最近君勇に糸へん筋の旦那がつき、今度は小夏の番である。或る夜造船会社の社長楠見老人のお座敷に急ぐ途中、小夏は小学校時代の担任で今も尊敬している久保先生に会った。小夏とあらぬ疑いをかけられて学校を辞めさせられ、今は楠見さんの会社に就職していたのだ。久保先生は今夜はお前を帰さないぞと小夏に迫るが、強情な小夏は何事もなく別れてきた。が、大好きな先生ともこれで終りかと思うとたまらなくなって、その夜遂に楠見さんに初夜を許した。落籍され...
『綴方教室』(つづりかたきょうしつ)は、1930年代に、鈴木三重吉の影響下で教育運動として盛んになりつつあった生活綴方運動の中で、東京下町の小学校教師、大木顕一郎の指導編集解説で出版された当時、本田小学校4年の豊田正子の26篇の「綴方」(雑誌『赤い鳥』掲載)を収め、1937年に出版された本の題名。
現在の岩波文庫版(山住正巳編、1995年、ISBN 4-00-332001-8)には、続編『続綴方教室』『粘土のお面』に収録された文章も10編合わせて収録されている。
出版されるや否や、当時の大衆の生活を素直な子供らしい視点で描いたことが話題になり、大ベストセラーとなる。戦後にも無着成恭らの「綴り方教育」に多大な影響を与えた。
翌1938年3月6日から3月20日まで新築地劇団が舞台化し、8月には東宝で山本嘉次郎監督によって映画化されて評判になった。