芸術選奨文部大臣新人賞受賞(市川森一)対象作品。銚子外川漁港。「港シネマの経営をすべてまかせます」という父万造(室田日出男)の手紙を読んだ猿田禄郎(西田敏行)は、10年勤めた漁船機関士を辞めて陸へ上がった。彼のこころはバラ色だった。ところが、港シネマに戻った禄郎を待っていたのは、「お前は映写技師をやれ」という万造の冷たい言葉。港町の「虹を掴む男」のドラマ。毎回、懐かしの映画音楽や名場面が劇中で使われた。「金曜ドラマの前シリーズの突然の明日が、高視聴率を上げて枠の存続が達せられた為、再びドラマの前衛の役割を担う作品が生まれた。市川森一は、二年後の淋しいのはお前だけじゃないで脚本家としての名声を得るが、港町純情シネマはその先駆けとなった作品で、今でも根強いファンを持っている。プロデューサー竜至政美、ディレクター高橋一郎、前川英樹、市川哲夫の金ドラの常...
1979年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品。「音羽外語学院の院長沢井貴子(岡田嘉子)は、一人娘の瑠璃子(夏目雅子)から一通の手紙を受け取った。瑠璃子は、家出して木偶(でく)師の竹田文蔵(萩原健一)の妻となり、長く音信普通だった。その手紙には、「私を助けてください。ここは地獄です。母さまに背いてあの人と一緒になったことを悔やんでいます。私に五百万円と離婚届の用紙を送ってください。」とあった。貴子は胸のつまる思いで夫婦が暮らす岐阜県郡上八幡へ向かう。そこは、ちょうど年に一度の盆踊りの時期で、夜風にのって郡上踊りの歌と囃子が流れていた。まだ見ぬ娘の夫はどんな男なのか、瑠璃子はどんな生活をしているのか、貴子はいらだつ心を抑えながら文造の家を訪ねる…。「菩薩と夜叉」二つの顔をもつ更科姫人形になぞらえて、人間の内面に潜む二面性を幻想的に描く市川森一脚本「露玉...
劇作家真船豊の同名原作の映画化。金欲に狂う庶民生活の赤裸々な姿を描く。「智恵子抄(1957)」の八住利雄が脚色、「雨情」の久松静児が監督した。撮影は「あらくれ(1957)」の玉井正夫。主演は「山鳩」の森繋久弥、「体の中を風が吹く」の淡島千景、「忘却の花びら (完結篇)」の池部良、淡路恵子、志村喬、「近くて遠きは」の杉村春子。ほかに浪花千栄子、山崎猛、山茶花究、織田政雄など。
クラシック音楽が好きな富久は、その趣味を生かしてクラシックレコードの専門店「ロゴス堂」を開いているが、商売は不振で、その上生来の人の良さから友人の借金まで背負込んで、そのため高利の借金に苦しんでいた。富久をとり巻く高利貸の一人、増山はやはり富久の債権者の一人商売仇の大高利貸榊原に一泡ふかせるため、出し抜いて富久から金を取り立てようと企んだ。そして、富久を甘言でつり、ロゴス堂を...
解説
川島芳子を主人公とする村松梢風の同名原作を吉村公三郎が脚色、「村八分」の今泉善珠が二回目の監督を相当する。撮影は新人牛山邦一、「山の音」の山村聡、「恋文(1953)」の森雅之、「日の果て」の原保美、神田隆、「赤い自転車」の岸旗江、「家族会議」の柳永二郎、「蟹工船」の中原早苗などが出演する。
ストーリー
一九三二年春、上海事変酣わなころ、作家村松梢風は「東洋のマタハリ」川島芳子を小説にえがくため上海に渡った。清朝復辟という時代錯誤のゆめを追う芳子は、特務機関の田中少佐等を利用してその野望達成に躍起となっている。しかしその政略的な愛欲生活のさ中にも、彼女は旧清朝の遺臣で若い中国の志士羅権にいつか心惹かれていった。彼女の古いゆめと、羅の反帝国主義とは当然食いちがい、芳子はその目的のためにいくどか羅を危地におとしいれた。そして苦悶した。彼女の仕事のため...
息づまる空中戦闘シーンをリアルに描写!
航空戦力の重要さと、兵士の不屈の魂を描いた松竹初の航空映画。
特殊撮影を駆使した佐々木監督の意欲作。
幼い頃父を亡くした水野武は、空の若鷹になる夢を母に告げる。
女手ひとつで彼を育てた母は、心の動揺をこらえてそれを許す。
やがて士官学校を優等生として卒業し、南方の基地に配属される武。
偵察機で敵機の襲撃を受けながら、彼は大戦果をあげるのだった。
航空戦力の増強が戦線の命運を左右することをテーマに描いた松竹初の航空映画。
米機をふんだんに使用し、迫力に満ちた空中戦闘シーンをリアルに描写。
当時としては画期的な特殊撮影を駆使した佐々木監督の意欲作。